忘れられない利用者さん
忘れられない利用者さんがいます。
もう5年以上も前のことになりますが、50代の女性、難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)
を患っておられました。
親身になってお世話するご主人様が会社に行っている間、2回ほどヘルパーが、体位変換や
オムツ介助、軽食などのお世話をして、残りの時間は軽く体をさすったり、お話のお相手を
させていただいていました。
最初のうちは、動かないながら車椅子に乗せて、家の中の短い距離の移動をしたり、軽いコップから
少量のジュースを飲むことならできていたのですが、だんだん、起き上がることも、手首でできていた合図などもできなくなりました。
まだ、お話はできていたので、それからは行くたびに彼女と、家族の間の他愛のないお話や
彼女の郷里での幼少時代のお話など伺っていました。
たまたま彼女の郷里は誰でも知ってる有名な観光地だったので、私も最近旅行で訪れたことが
あり、そのお話をしたら大変喜んで盛りあがったことがありました。
それからは、数少ない私の行った旅行先のお話や、料理の話しなど、熱心に聞いてくださいました。
この部屋から出るのは病院に行く時だけの方に、旅行の話なんて、と、最初はちょっとためらった
ものですが、テレビを観るより面白かったと言ってくださるので。
彼女もご家族も最期まで入院せず、ご家庭で。
との強い希望があったので、自分の力でしゃべることができなくなっても、つらいとか、私たちに当たるようなことはなく、いつもありがとうの笑顔で見送ってくださいました。
介護に当たったのは1年弱の短い間ですが、彼女からはとてもたくさんのことを教えてもらいました。
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